中国の事実上の最高権力機関、共産党大会が十月十五日から始まる。政治報告の趣旨は明らかにされてきたが今後の国を担う指導者の選出経過は闇の中。二十一世紀の大国として異様ではないか。
中国では国会に当たる全国人民代表大会をはじめ政府や軍も共産党の指導を受けることが憲法に明記されている。五年に一回開かれる共産党大会が事実上の最高権力機関だ。
党大会では各地方や機関の党組織から選ばれた二千人余りの代表が、三百人余の中央委員・同候補を選出。その中央委員会が総書記をはじめ合計二十人余りの政治局常務委員(現在は九人枠)と委員を選ぶ。
大会代表や中央委員は定数を若干上回る候補者を立てる「差額選挙」が行われてきた。しかし、政治局委員以上は定数と候補者数が同じ「等額選挙」という信任投票で、候補者の選出経過はうかがいしれない。
共産党が支配する中国では、これが当然とされてきた。しかし、世界で第四位の経済大国となり国際政治の重要なプレーヤーとして世界を左右するようになった現在、これは極めて異様な姿ではないか。
米国やロシアなど主要国では国家のリーダーを目指す人々は自らの見解を公表し選挙で選出されている。
中国では建国以来、毛沢東、とう小平といったカリスマ的指導者が後継者を事実上、指名してきた。現在の胡錦濤国家主席も、十五年も前に江沢民氏の次のリーダーとしてとう氏が指名した人物である。
しかし、カリスマがいなくなった今、このやり方は通用しない。現に党次期指導部の人事をめぐり党内で激論が起き、河北省のリゾート・北戴河で今夏、調整のための協議が断続的に開かれたとの情報がある。
改革・開放以前は平等に貧しかった中国も経済発展の結果、貧富の差が開いた。党内には豊かな経営者の代表もいれば貧しい農民もいる。
政策や人事をめぐって激しい対立が起きるのは当然だ。同じく共産党が統治するベトナムでは、一年半前の大会で難航する書記長人事をめぐり、代表に誰がふさわしいか意見を表明する投票が行われた。党中枢に及ぶ大規模汚職事件で「最高指導者を民主的に選べ」という意見が公然と表明された。
中国でただちに全国的な普通選挙を実施するのは現実的ではないだろう。全国の精鋭が集まる党大会で総書記や政治局委員の選出に「差額選挙」を導入してはどうか。
その方が党の「安定団結」は深まるし、世界からも中国型の民主主義の第一歩として評価されるだろう。



