来年夏の北京五輪を前に再開発が進む北京市内で、立ち退きを拒否する住民らが襲撃された。地上げ屋による犯行とみられ、急速な経済成長の「負」の部分を象徴している。
北京市朝陽区の集落三十二世帯が八、九両日の未明に襲われた。数十人の集団がツルハシを持って無言で押し入り、住民を追い出すと重機で住宅を破壊した。ウエーターの男性住民(18)は「寝ていた時に体を突然つかまれ、外に放り出された。殺されるかと思った」とおびえた表情で語る。
住宅は隕石(いんせき)が落ちたように屋根がえぐられ、周辺は爆撃を受けたようながれきの山。それでも七世帯は、半壊した住宅や車の中で寝泊まりする。二十年間住んでいる修理業者の男性(42)は「十六歳の子どもは親せきに預けたが、私たちは居残る」と語気強く語る。
住民らはマンション開発業者から一平方メートルあたり約三千五百元(約五万三千円)の立ち退き料を提示され「この金額ではどこにも移り住めない」と拒否していた。業者は中国紙の取材で事件への関与を否定している。
中国では私有財産保護を強化する物権法が十月から施行される。また、北京五輪が行われる来年夏は、大気浄化のため北京市内は民間工事もストップさせる方針。このため「駆け込み」開発を急ぐ業者が地元当局と癒着し、各地で違法な地上げを行っているとされる。


